赤ひげ 主演 三船敏郎, 加山雄三, 山崎努 監督: 黒澤明
さてここからは視聴者の皆様にこの一本だけはどうかお見逃しなきと言うという傑作映画を私が勝手に プッシュさせていただくおりシネマのコーナーでございます 医療シリーズと言いますとドラマで言うと 米倉涼子主演のドクター X シリーズとか幕末にトリップしちゃう神なんて言うドラマが大ヒットしましたが映画の世界で医療のテーマをした作品これこそが大傑作中の大傑作。 まさしく頂点だと思われる作品をご紹介します 「赤ひげ」!出た! もちろんドラマにもなりましたが、私はあえて言いましょう。黒澤映画の 映画版だけを見ればもうドラマは見る必要ありません 昭和40年もう黒沢さんがね油の力入られてる時じゃないですか。 気力体力的にもね。 そして主演の赤ひげ。もちろんあだ名ですけど、赤ひげ先生演じるのは三船敏郎ですよね。 まあ残念ながら 三船と黒沢の日本映画至上不滅の永遠の名コンビはこの作品を持ってコンビ解消ということになっちゃうんですけどね。 まあそういう思い出はさておきとして・・ 加山雄三を演じる保木登(やすもとのぼる)という青年医師。これ彼が長崎に修行しに来るんですよ 蘭学と医学の修業してね。もうエリート中のエリートだから鼻高々なんですね。 いずれは江戸に戻ってきて幕府の御殿医なれる。御殿医というのはどういうことかというと やがては徳川将軍の お脈を拝見。みたいな完全な出世街道ですね。 そのつもりで夢膨らませまくって帰ってきてみたら、自分が配属されたところは 小石川療養所と言うあと一歩で行き倒れになってもおかしくないような、いわば江戸の貧民たちが集まる 片寄やって治療を受けていると言うところだったんです。 加山雄三としては 俺はこんなところでこんなよくわからない人たちを見るために一生懸命勉強してきたんじゃないなんて不本意なやるせない思いでいっぱいで、もう不平不満たらたらで つねさせられることになるんです色々事情があって・赤ひげ先生にも刃向かいまくる訳です。 ピアノお仕着せって言うね制服にあたるその療養所の制服を、私は何この療養上でてゆくゆくは幕府の御殿医になるものですからこんなものが来ませんと 刃向かいまくってたんです。 ところがやがてですよこの患者たちの、それぞれの人生の闇あるいは荒野を抱えているわけですあ るものはね家族から見捨てられてしまって、ただ、仕事ひとつに生きてきた大工 これおね藤原鎌足が演じているいるんですが 患者もそれぞれの背後には、何もも言うことができない言葉にも言語に絶するような人生の背景が広がっていくのをまざまざと見せつけられるに従って 、それ以外にも手術の最中に血が溢れるのを見て卒倒しちゃったり 、ある女の患者にすぐ色仕掛けでたらしこまれて誘惑されちゃう自分に自己嫌悪に陥ったり 。 そして加山雄三演じる安本は着々と人間として成長していく。 そういう物語をどんと真正面から捉えています。 色々な患者達の生と死のドラマをみていき、いよいよ本格的に医者として本格的にここで修行を積もうという決意と覚悟をみなぎるのを、たった1カットで表現しているんです。 L 字型に曲がった長い廊下を スーっと折れ曲がって画面正面に歩いてくる安本がいつのまにか療養所のお仕着せを着ていた。 その1カットだけで青年の心境の変化というのを見事に表現するこの黒澤演出術の素晴らしさ! 今回の観ずに死ねるか死なずに見るか 黒澤明の、脂の乗り切った絶頂時の作品。「赤ひげ」 この人生の療養所で、あなたの疲れた人生も癒されてみてください