「クレイジー・ハート」大人の恋愛映画。40才を越えた男性にはぐっとくるものがある。

クレイジー・ハートは、地味なストーリーだが賞レースでは高評価。主演のジェフ・ブリッジスは、かつて「実力があるのに最も過小評価されている俳優」で一位にされた事もあったが、この「クレイジー・ハート」でついにオスカーを受賞した。相手役のマギー・ジレンホールも助演女優賞にノミネート。 さらに、主題歌の「The Weary Kind」がアカデミー賞歌曲賞でオスカーを獲得した。 今回、ジェフ・ブリッジスはどんな演技をしてオスカーを獲得したんだろう?と興味が湧いたので初見のつもりで見たのですが・・なんと最後のシーンまできて、以前に観たことある映画だったことを思い出しました。 それくらい、記憶には残りにくい地味な映画です。でも、2回目に観た今回のほうが良い印象でした。

クレイジー・ハートの基本情報・感想レビュー

監督: スコット・クーパー 公開年: 2009 年 映画時間: 111 分

出演: ジェフ・ブリッジス、マギー・ジレンホール、コリンファレル
原題: Crazy Heart 原作: トーマス・コップ「Crazy Heart」

クレイジー・ハートの評価・採点
かに助おすすめ度 3.5
気軽に観れるか 4.0
2回目観たい度 3.5
管理人の映画感想はこちら

クレイジー・ハートのあらすじ(ネタバレ無し)

かつて人気を博したカントリー・ミュージシャンのバッド・ブレイク(ジェフ・ブリッジス)だが、すっかり人気も落ちぶれて、ボーリング場やBARで営業ライブをして日銭を稼ぐ日々を送っていた。

昔の人気と今の生活のギャップに耐えられないのか、バッドはアルコールに溺れて、自堕落の生活を続けている。
そして4回の離婚も経験。まさに「今は冴えないけど・・昔はスターだった」の典型的な生活をしていた。

さらに彼のプライドを傷つけているのは、自分の弟子であったトミー・スウィート(コリン・ファレル)が、大成功してスターになった事。。
弟子に抜かれた・・とう事実をなかなか受け入れる事ができないのか、取材でもトミーとの話題は拒否している。

そんなとき、取材に訪れた女性記者ジーン(マギー・ジレンホール)と恋に落ちる。
4才の男の子のシングルマザーのジーンは、バッド・ブレイクに人柄に魅力を感じつつも、アルコール依存であるバッドの自堕落な生活には、不安を覚えながら付き合っている。

一方、バッド・ブレイクは、ジーンの4才の息子バディと仲良くなり、遊んでいるうちに、実は自分にも息子がおり、4才の時から会っていない・・事をジーンに打ち明ける。

そんなとき、バッドは居眠り運転で事故を起こし・・・

映画「クレイジー・ハート」の評価(管理人の感想)

この映画・・初めて観る映画と思ってたら、以前に一度観たことがありました。しかもラストシーンで観たことある!と気づいた。それくらい記憶に残りずらいし、インパクトには欠けるありがちなストーリーです。

けれども、数年前に初めて観た時より、今回のほうが格段に良い印象を受けましたし、良い映画だなと素直に思えました。

その原因は主人公バッド・ブレイクに共感できるような年齢に僕がなった・・という事が大きいように思います。(とはいっても僕は40才。主人公は57才くらいの役)

自堕落な生活、アルコール依存の生活を送ってはいるが、一方で過去の栄光もまだ少しあるので、プライドさえ捨てれば、ドサ回りで食っていける。

ジェフ・ブリッジスが、そんな老いぼれミュージシャンを非常に丁寧に演じています。
僕が共感できるようになった・・・と書いたのは、僕がミュージシャンを目指していたから・・というのはウソで、アルコール依存の生活をしている訳でもありません。

でも、今の生活を変えたいな、自分自身を変えたいな・・と思っていても、習慣や環境が邪魔して、なかなか変われないと感じる事って誰にでもあると思います。

40才にもなると、ある程度、自分の10年先も見えてくる・・これでいいのかな?と思ったりもします。
過去の成功体験に自分が縛られているな・・と感じることもあります。

そんな内面の葛藤のメタファーが、バッド・ブレイクのアルコール依存なのかな~と思いながら今回は観ていました。
以前観た時には、老いぼれミュージシャンの愚行・・としか観ていなかったように思います。

恋愛映画としても非常にリアリティがあって、よくできていると思います

私のように40才を越えた夫婦や、40才オーバー男性が観ると、ぐっとくるものが絶対あるはず。
心地よい余韻がある終わり方も、過去の恋愛を思い出し、キュンとしてしまいました。

ネットでこの映画を検索すると、49点とか点数をつけてたり、そんなに高評価ではありません。
おそらく低評価の人は、20代の人が多いのでは推測します。

だって、バツイチとバツ4が出会う恋愛ですからね~。20代が観てもリアリティ全くないですよね。

最初にも書いてますが、すごくインパクトを残すストーリーではありませんが、しみじみと良い映画です。
夫婦でも観れますし、僕のように40オーバーの男がみると余韻がある映画です。

賞レースについて



ジェフ・ブリッジスは、この演技でアカデミー賞主演男優賞を獲得するのですが、なかなか渋いセレクトだな・・と思いました。
それくらい、出来そうで出来ない、自然な演技をしていると思います。

相手役のマギー・ジレンホールの演技も大変良かったです。オスカーは逃しましたが、助演女優賞ノミネートは順当だと思います。
マギーの愛くるしいけど、それほど美人でもない(失礼)顔が、田舎の記者という役にピッタリ。
これが金髪の美女とか・・だったら、こんな人いないわ・・とリアリティに欠けますしね。

この配役はジェフ・ブリッジスが直々にマギーを相手役に指名したそうですから、2人の演技がすごく息ぴったりなのは、当然かもしれませんね。

そうそう、もう1つ注目すべきは、ジェフ・ブリッジスの歌唱力。この人は俳優業以外にも画家やミュージシャン、写真家など多才な事で有名なのですが、今回は老いぼれミュージシャンが歌っているシーンは、本当に自分で歌っているそうです。

低くて良い声なのは、台詞でも知っていましたが、本当に美声です。そして結構いい曲なんです。
そして調べたところ、この映画の主題歌の「The Weary Kind」もオリジナルソング部門でオスカー獲得しています。