非情城市(ひじょうじょうし) 監督:ホウ:シェオシュエン 主演トニーレオン

今回の映画は台湾の現代史を描いた作品。非情城市(ひじょうじょうし)。中国圏の映画としては、初のベネチア国際映画祭にて金獅子賞(最高金賞)受賞した作品。

トニーレオンは、言葉が不自由の話せない役柄。4人姉弟の末っ子で、写真を撮ることだけ気を入れて仕事をしている。

その4姉弟それぞれの視点でみた台湾の現代史ってのが淡々と、淡い水彩画を描くように、台湾の風土、風景と並べて描かれているんです。

この映画の中で、重要なキーワードとなる事件が 二二八事件。この事件は、台湾に住んでいる人からすると、絶対に忘れないけど、思い出したくないような極まる事件があった訳です。

というのは、この映画の冒頭は、どんな声から始まるのか。「朕 ふかく~世界の大勢と英国の現状をかんがみ 非常ノ措置ヲ以テ時局ヲ收拾セムト欲ス」

そうです。昭和天皇の昭和20年8月15日昭和天皇のポツダム宣言の受託を告げる「玉音放送」。

この玉音放送からこの映画は始まる訳です。台湾が日本帝国の統治から離れた。

その離れた後の昭和20年8月以降の台湾で、一体何が起こっていったのか。

申し訳ないが、大陸中国の映画とちがって、この映画はうるさくないんです。非情に描写が静かで穏やかな感じで淡々とすすむ。

しかし描かれていることは、非情に厳しい現実。共産党との内戦に敗れた蒋介石 率いる国民党が、軍隊と共に台湾にワ~と入ってきて、台湾の統治を始めるんです。台湾は、日本帝国の統治が終わったと思ったら、今度は中国国民党による統治が始まる訳です。。

これを台湾の欠くべからざる現代史として描いているんですが、その描き方が淡々としている。静かなんです。
声高じゃないんです。そこが非常に大切なんです。

国家権力が~、古傷が~なんかね、告発調じゃないスタイルだから、見るモノの心にそくそくと訴えてくるものがあると思うんです。

はい、今回の観ずに死ねるか死なずに観るか。非情城市(ひじょうじょうし) ホウ:シェオシュエン監督が描く台湾の現代史。日本からどういう風に切り離されちゃって、どんな辛い道を歩んできたのか・・是非その目で確かめてください。