TATTOO<刺青>あり 監督:高橋伴明 出演:宇崎竜童, 関根恵子, 渡辺美佐子

まー相変わらず 世間では子供の引きこもりが問題になっておりますが、子供の引きこもり以上に恐ろしいのは大人の立てこもりです。

史上最悪の部類に入るであろう、目も当てられない事件。実際に起こった昭和50年代に、ある銀行の支店を舞台におこった人質立てこもり事件。これをモデルに描かれた映画でございます


TATOO<刺青>ありという作品。 タイトルの由来というのは冒頭からいきなり犯人の死体が写るんですね。

警察の鑑定医(お医者さん)が出てきて、色々チェックするでしょ。死因だとか傷の具合だとかを観ます。

そのときに、「タトゥーあり。刺青あり。」入ってるぜ。と監視報告書に書く一行からとられたタイトルなんですけどね。

その犯人を異様な生々しさで演じてらっしゃるのが、ミュージシャンの宇崎竜童さん。

宇崎竜童さんご自身は代表作と言われたくないかもしれませんが、この「あきお」というキャラクターを演じる宇崎さんが、15の歳に強盗殺人事件を犯し、少年院に入ってでてきた時に、「オレは30までにデカイことをやってやる」という犯人。

生業に付こうとするが、なかなかうまくいかない訳ですよ。

バーテンやったり、キャバレーのボーイをやっている家庭で、1人の女と出会う。その女というのが、関根恵子。後に監督と結婚して高橋惠子さんになられる女優さん。

まー一番綺麗な時といったら怒られますけど・・。同棲することになり、その後別れることになる。

でも、未練残ってるあきおが、会いに来るんですよ。会いに来たら、別の男が彼女の部屋に居た。そんなワンシーンも含みつつ、このあきおが、やがて破滅への道へ一直線。銀行強盗、そして、警官隊に包囲された事を悟って、無謀な人質をとり、その奥であまりにもこの事件、凄惨すぎて、詳しくを話す気にはなりません。

「お前らにな、ソドムの位置を見せたるわ。」とは実際の犯人が言った言葉だそうです。つまり「この世の地獄を目の前で出現させてやる。味合わせてやるぞ。」

その犯行前夜の宇崎竜童の演技が本当にすごい。「わしのアタマの中でな~プランはもう全部出来てるんや」

その時にステーキを食べてるんですが、そのステーキの肉がもう血がしたたるレアぐらい。その口元をカメラさんがアップで映すんです。

その血のしたたるような肉を頬ばりながら、犯行計画を話すときの宇崎竜童の鼻から下のアップ。

血のしたたるような肉、頬ばる口、そのほかいろいろなモノを連想させるんです。

すごい演出だな。と私は息を呑んだ記憶があります。

というわけで、今回は 宇崎竜童の名演技、迫真すぎる素晴らしさ。 実際の事件をモデルにして、映像と演出のテクニックにより、一層リアルと陰惨な模様を、語らず昇華させた映像に定着させた 「TATOO<刺青あり>

このタトゥー皆さんの記憶に刻み込んでください。