伊賀忍法帖  真田広之 (出演), 渡辺典子 (出演), 斎藤光正 (監督)

視聴者の皆様にこの1本は見逃してはございませんぞーと傑作映画を勝手に、且つ強力にプッシュさせて頂くオリシネマのコーナーですっと申し上げといてなんなんですが・・今回の作品は正直言って・・・映画史的には・というか、一般の皆さん・観客の皆さんからしたら、これは傑作とは言わないのでは?というであろう作品をあえてプレゼンさせて頂きます。

それは伊賀忍法帖
80年代、正確に言うと70年代後半の角川映画 絶頂期だったでしょ?メディアミックス戦略で一世風靡しました

角川三姉妹ていうのはご記憶されています? 薬師丸ひろ子、原田知世、渡辺典子。この3人の主演映画がぞくぞくと公開されて粒打ちになっていましたよね?

その渡辺典子さん。もちろん今でもご健在ですけども 渡辺典子さんの初主演映画、デビュー作でもあるんですね。
この伊賀忍法帖(いがにんぽうちょう)

ただし、私がこの映画を紹介しているのは、淡い思い出の少年時代に観たからといって紹介しているのではないんですよ。

えーこの斎藤光正監督のこの作品。もちろん戦国時代を描いているんですが、虎ノ門ニュースのレギュラーコメンテーターでおなじみの作家の百田尚樹さんが以前仰っていたんです。「自分がもし時代小説を書く事になったとして、誰を主人公に選ぶか?」

興味を持っている人物は誰か?と言ったら
それは松永弾正(まつながだんしょう)と番組中でも言っていたのを視聴者の方で記憶されている方、いらっしゃいます?

そう、松永弾正(まつながだんしょう)久秀といえば、ミスター下克上。極悪人中の極悪人。東大寺大仏殿に焼き討ちをかけ、さらには室町幕府十三代将軍 足利義輝。健忘将軍といわれた、かの足利義輝を屋敷を囲んで自殺を促した。暗殺した。。
ね、やりたい放題でしょ?こんなとんでもない極悪人の松永壇上を中尾彬さんが気持ちよさそうに演じてらっしゃいます

そしてその松永壇上を、手のひらで操るかのように「壇上、好きな女も手に入れ放題、やがては天下をそなたの手に握るべし」といって怪しげ-に出てくる謎の妖術使いが、戦国時代に実在したといわれる 果心居士(かしんこじ)というこのキャラクターを、演じるのが成田幹生さん。

若くして55才くらいでお亡くなりになられた。私は本当に大好きな俳優さんだったんですが、成田幹生がもう本当に小気味良く演じてます。

そして、彼が操る5人の妖術僧というのが出てきます。 これがもう渡辺典子めぐって、あやしい術を使いまくるんですが、
演じているのがすごい。ストロング金剛さん、元プロレスラーのストロング小林さんですよ。

そして佐藤雅次郎さん、「おーいげん」「相変わらずバカかっ」てね、寅さんに声をかけられているお寺の鐘撞きの元こう。

あのモジャモジャ頭の佐藤が次郎さんが、その頭のまま、妖術僧を演じています。もうメイクしなくても、その外見でもう充分怪しいじゃないかっていうね?

そしてトドメには福本清三さん 五万回切られた男って言われている東映の切られ役専門でずっとやっていた方、覚えてられるでしょ?
「どこかで誰かが観ていてくれる」なんて自伝インタビューも有名です。
そしてラストサムライにも出演して、たった一言しかセリフはないけど、それで国際的にも有名になっちゃったんですよね。

脇役、切られ役、通行人役、そんな役ばっかりずっとやられていた方ですけれども、おそらく福本清三さんの過去の俳優人生で、この映画のセリフが一番多いと思います。

そのことだけでも、記憶されてしかるべきだと思うんです。そんなこと言われても困りますか?

そんな微妙な脇役達の魅力に注目いただきたい。

特に成田幹生さん演じる妖術使いの果心居士(かしんこじ)の存在感に大注目して頂きたい。

今回の観ずに死ねるか、死なずにみるか。

まさにこれが角川映画ね~という、いい意味の油っぽさと、胡散臭さに満ち満ちた怪作。

この忍法に騙されたとおもってかかってみてください~