Smoke スモーク~ハーヴェイ・カイテル主演 監督ウェイン・ワン

話は急に変わりますけど、私(居島一平)自身は、タバコは吸わないのですが、最近の喫煙者の迫害はやりすぎなんじゃないの?と言いたくなりますね。

アニメ映画の作品で、登場人物がタバコを吸うシーンに、子供が悪影響だと文句をつける人まで出てくる始末。

やりすぎなんじゃないの?と言いたくなる。そんな時に必ず思い出す映画が「スモーク」です。

アメリカ映画。ブルックリンの街角にある小さなタバコ屋の話。

そのタバコ屋のマスターであるオーギー(ハーベイカイテル)が、日課にしているのが、毎日同じ場所で同じ時間に、同じ構図で写真を撮る事

十何年間も毎日同じ時間に同じ場所の写真を撮り続けている。

その写真には、行き交う人々、街の光景、その日の天候はもちろん、長く観ると街の移り変わりまで感じる事ができる。

タバコ屋の店主をハーベイカイテルが演じている。私(居島一平)はハーヴェイカイテルは大好きな俳優さんなんですけど、あの「純なムク犬(毛がふさふさな)」みたいな顔つき。

人なつっこい顔そうな顔。怖いときはメチャメチャ怖い顔の俳優。(レザボアドッグスとかギャング映画ではね)

そんなタバコ屋の主人(ハーヴェイカイテル)が、静かに街を見守っている訳ですよ。

そんなタバコ屋に常連で通う作家。(ウィリアムハート)
気の毒な事に、この作家は気の毒な事に、妻が銀行強盗に巻き込まれて亡くしている過去がある。
それから創作意欲も無くしてしまって、新作を出せないでいる。

その俳優もウィリアムハートとが味わい深く演じている。

監督はウェイン・ワン。脚本は原作者ポール・オースターとウェインワンの共同執筆。

この映画自体が、「優れた短編小説は、人生の断面をスパッと、新鮮な野菜を切ったみたいに、みずみずしく断面をみせてくれる」という表現がありますが、この映画はまさにそれの映画版。

映画なんだけど、優れた鮮やかな短編小説のタペストリー(つづら折り)を見せられているような気になる。

複数のいわゆる人物の心情だったり、人生模様だったり、一見なんの関係もなく脈略がないようなカードを切るように並べていって、それが最後にどう繋がるのか・・というのが見所。

最後にオーギーのクリスマスの物語。

作家のポールがスランプから抜け出す兆候が見えてきたときに、オーギーに相談する。

「オーギー、何かいいネタないかな?この間、ニューヨークタイムスに頼まれて、クリスマスを題材にした、素敵な物語を書いてくれって言われているんだ。ヒントになるネタないかな?」

と聞かれて、オーギーが「おう、それだったらオレの経験した話を使ってくれよ」と話をし出す。

また、この2人のやりとりが粋でね~。

最後に、オーギーが体験した物語とはどんな話だったのかは、是非、映画を観て味わわれてください。

今回のご紹介の映画は「スモーク」

この映画を観たら、喫煙者でない私も、喫煙室じゃないところで一服やりたくなる。
味わい深ーく一服やりたくなる。銘柄はどれでもいい。

スモークについて~管理人どんぐりカニ助

スモークは、管理人のどんぐりカニ助も大っ好きな映画でして、かれこれ10回近くは観ていると思います。
登場人物4人くらいの、それぞれの小話がいくつも展開されますので、何度観ても飽きることがありません。
「短編小説のタペストリー」と居島一平さんが表現されたのは、本当に言い得て妙で流石だなと思いました。

私も居島一平さんと一緒で非喫煙者で、日常ではタバコの煙が大っ嫌いなんですけど、この映画を観ると、こんな世界もいいかな~と思ってしまう節があります。

この居島一平さんの紹介する「オリシネマ」で、初めてといっていいくらい、自分の好きな映画がドンピシャで登場しました。

枕話の、タバコの話だけで、「スモーク」だな。と分かりました。

そして私も「ハーヴェイカイテル」が大好きな俳優の1人です。 (どちらかというとバイプレーヤーとして有名で、先日亡くなった大杉漣さんの様なポジションで存在感を放つ方です。)
演技もそうですけど、顔や仕草、そして「声」がめちゃくちゃ格好良いです。

ついでの小話・・
大学生の時に、私が所属していた映画部でも「スモーク」が面白いと話題になりました。

だから、その調子で偶然会った小学生の時の友人に、勧めてみたのですが・・あんまり面白くなかった・・と観た感想が返ってきたんですね。

たしかにハリウッド映画のように分かりやすい面白さはないけど、何度観ても面白いよこの映画は!とこの映画の面白さを、蕩々と説明した・・記憶がよみがえりました。

「その解説を聞いていると、面白い映画の気がする・・・」と友達は最後に言ってくれたんですが、今から考えてみても、私にとって、とても思い入れの強い作品だなと思いました。 まだ観ていない方は、是非お勧めします